小町渉氏 × 谷岡まち子氏 対談
天才 谷岡ヤスジ夫人が認めた天才 小町渉
小町渉
アート・ファッション・プロダクト(製品)の境界(ボーダー)を超えた、クロスオーバーなスタイルで作品を発表している。東京やパリを拠点に活動。    
谷岡まち子
谷岡ヤスジ夫人。谷岡プロ代表取締役。東宝出身の元女優で代表作に『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』『フラワーアクション009ノ1』など。


■谷岡ヤスジのキャラは過激で平和!?


小町渉(以下、小町):谷岡ヤスジ先生って、どういう方だったんですか?
イメージは短気な感じもするけど、実は家庭孝行で、優しい方だったという気がしましたけど

谷岡まち子(以下、谷岡):凄い優しいです。根は凄く優しくて、デリケート。でも、やわらかい羊ちゃんみたいな部分をガードして、外では強い部分を見せてましたね

小町:奥様に対しては、ガードしないですよね?

谷岡: わたしや娘にとっては、凄く優しい人でした。でも外では、上からおさえつけられたり、間違ってること、悪いことが嫌いで、自分が正しいと思ったことは絶対に曲げませんでした。 女房子供は命がけで守る、命をかけなきゃダメなんだ』と云ってましたね

小町: 自分もひとりでやってるから。先生もひとりで描く仕事じゃないですか。ひとりでやっている人と、会社に属している人というのは違いますね。ひとりの場合、なめられたらおしまいというか。だから自分が頑張って我を通すというのは、凄くわかりました。ひとりだと、上から目線で、間違ったこと云われますからね

谷岡:そういう態度は大嫌いで、噛みついて闘ってました

小町:だから先生の作品は、パンクっぽいんですね。体制が嫌い。でも先生自身が優しい、繊細だからこそ、そういった作風になるんだと思います 先生の描くキャラクターは、過激なんだけど、平和的というか、みんな笑ってるんですよね。だから、汚くない。包丁とか刺さってても、ユーモア、ペーソスがあるから怖くない、下品になりきらずに、笑えるじゃないですか

谷岡:やはりそこは、根が優しいからなんだと思います。ひとりで仕事してるから、その優しさを隠して、強い自分を外には見せてました

小町:ひとりで仕事してると不条理な事あるんですよ。うちの親爺も、作家なんです。ひとりでずっと仕事してきたから、その苦しみというのは小さい頃から見てて、子供心にも良くわかりました。先生と親爺は似てる感じしますね。他人から見たら短気ですよ(笑)

谷岡:谷岡も怒ると物凄い勢いで、ビックリしちゃう程怒ります。だからそこだけ見て、谷岡をそういう性格だと思ってしまう人には、本当の姿は理解出来ないんでしょうね。でも怒るには理由があるんです。怒るまでに何度も我慢してるんですよ。失礼なこと云われたり、されたり。それがある日爆発する
小町:我慢してるんですよね

谷岡:その我慢が作品にも出てるんじゃないでしょうか。蓄積されてきたパワーが(笑)小町先生の作品には、社会のひずみというか問題点が内容に出てますよね。社会に対して警鐘を鳴らしてる。『お前ら、こんなことでいいのか!?』という内容に思える。政治的な感じがするんです。作品が社会の内容に常にリンクしてるじゃないですか

谷岡:社会の動向については常に気にしてましたね。それを風刺して……

小町:それは自然に出ちゃうんだと思います。 今回、谷岡先生とコラボレーションさせて戴くにあたって、先生が描かれた内容は当時の社会に関してだから、内容にふれてしまうと難しい。現在の人たちには伝わらない。だからそれはやめたんです

谷岡:小町さんは、谷岡の作品のテーマを理解して下さってるから、ああいう作品が出来るんですね。表面的な、過激なところだけを見てる人とは違います